第8回日本小児禁煙研究会学術集会を東京で開催することになりました。第7回に引き続いての東京での開催ですが、東京も区部ではなく市部(三鷹市)での開催です。島嶼部程ではないにしても、東京にもこんなところがあるのかと、多少とも東京の多様性をお感じいただけるのではないかと思います。近くには玉川上水が流れ、井の頭公園も近く、また太宰治も渡り、富士山の雄姿も眺められるJR中央線の跨線橋、国木田独歩の武蔵野の雑木林の公園、山本有三記念館なども訪れることができます。
さて、今学術集会では、タバコが如何にして子どもの発達・発育に悪影響を及ぼすのかを改めて考えてみる機会になるような企画を考えております。タバコの影響については主に疫学的な観点から研究されてきており、その観点からはタバコは生活習慣の内でも最も悪影響のあるものであることはJTとその提灯持ち以外の人々の間では確立した知識となっています。もっともJTなどにしてもそのようなことは重々承知で、その上で利益を図っているのだと思いますが。例えば、ユニセフは子どもの心身の健全な発達のために取り組むべく活動を行っていますが、その一環として、2016年に“Clear the air for children-The impact of air pollution on children”を発表しました。その中でもユニセフは、子どもの認知機能の発達とタバコとの関係は確立した事実であるとし、大気汚染を語る上でのベンチマークとしてタバコ問題を扱っています。ユニセフによれば、国際的にはタバコ問題はあまりにも当然すぎる問題になってしまっており、改めて取り上げるまでもない課題のようで、今必要なことは、特に先進国においては"political will" の問題だけであるとの立場のようです。要するに、各国がFCTCに準拠する政策をとれば良いことで、各国での取り組みに任された状態と言うことができます。
疫学は、複数の出来事の相関関係を示すものであっても、必ずしも因果関係を示すものではなく、因果関係であるためには、それらの関係の間が生物学的に説明できなければならない訳です。その点こそは、JTなどががん以外の健康被害についての詭弁を許す結果になっているように思われます。従って、今後我々が力を入れていかなければならないことは、疫学的事実の生物学的な基盤を明らかにすることであろうと思います。今回の学術集会が、少しでもそのような方向性に資することができれば幸いです。
テーマには、最後に「貧困」ということばがはいっていますが、その理由は、私の会長口演で明らかにするつもりでおります。多数の皆様のご参加を期待しております。
平成29年4月 |
会 長 別所 文雄
日本医療科学大学保健医療学部 |
第8回日本小児禁煙研究会学術集会
2018年2月25日(日)於;
「三鷹産業プラザ」 |
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